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[論文賞] 竹俣 直道/インディアナ大学

更新日:2020年4月12日

Naomichi Takemata Ph.D.

真核生物の起源となったアーキアの染色体三次元構造

Cell

Physical and Functional Compartmentalization of Archaeal Chromosomes

2019年9月


細胞は自身よりも遥かに長大な染色体DNAをどのように折りたたんで収納しているのか?この謎に多くの研究者が取り組んできた結果、真核生物およびバクテリアの染色体三次元構造については多くの知見が得られてきた。一方、第三の生命ドメインであり真核生物の起源となった原核生物とされるアーキアでは、染色体がどのように折りたたまれているのか現在でもほとんど明らかにされていない。我々は次世代シーケンサーを利用した染色体構造解析手法であるHi-Cを用いて、アーキア染色体の詳細な三次元構造を決定することを試みた。アーキアの代表的なモデル生物であるSulfolobus属アーキアを用いてHi-Cを行なった結果、Sulfolobusでは転写の活発なDNA領域と不活発なDNA領域が別々の空間(コンパートメント)に局在することがわかった。このような構造はA/Bコンパートメントと呼ばれ、ヒトを含む多数の真核生物にも存在する一方、バクテリアには存在しないことが知られている。さらに我々は、SulfolobusのA/Bコンパートメント構造がアーキア特異的に保存された新規のStructural Maintenance of Chromosomes(SMC)タンパク質によって形成されることを見出し、この因子をcoalescinと名付けた。以上から、Sulfolobusアーキアは真核生物型の染色体構造を有する一方、この構造をアーキア特異的なSMCタンパク質によって形成するというユニークな性質をもつことが明らかになった。


審査員コメント:


アーキアから探る染色体構造の構築原理とその進化 を研究されCellの表紙にも採用された論文で、最優秀論文賞に値すると思います。(栗原先生)

ゲノムの立体構造とそのメカニズムの解明はここ数年のホットなトピックである。応募者はアーキアにおいて構造を解明し、そのユニークなメカニズムを解明した。基礎的な重要な仕事と思われる。(木原先生)


The article presents a set of new knowledge for the three dimensional organization of a few Mb chromosomes of two sulfolobus species (S. acidocaldarius and S. islandicus), which show the features somewhere between bacteria and eukaryotes.Data are solid and nicely bridge the gap in the current knowledge. A math model might be helpful for quantitatively showing physical compartmentalization. (横田先生)

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