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執筆者の写真Tatsu Kono

[特別賞] 古屋 圭一朗/Purdue University

Keiichiro Furuya

量子情報の増幅と貯蓄の一体化

Journal of the Optical Society of America B

2019年11月

Memory-based probabilistic amplification of coherent states


近年、量子コンピューター等の量子情報の技術的なプラットフォームの構築が大きな注目を集めています。この量子情報の応用分野では、量子コンピュータのみならず、量子コミュニケーションという、量子力学を利用した通信デバイスの開発も行われています。本研究では、その量子コミュニケーションにおいて、量子情報の増幅(アンプリフィケーション)と貯蓄(ストレージ)を同時に行う事が理論的には可能である事を示唆しました。量子コミュニケーションでは、主に光子の状態を物理的な情報として、ファイバー等の光学機器を用いて通信を行います。この時、光子の状態は、例えば、ファイバー等の周りの環境から影響を受けて、元の送受信した光子の状態から揺らいでしまいます。そこで、近年、量子増幅というものが考えられており、それは揺らいでしまった光子の状態を増幅し、元の送受信した光子の状態の質を向上させると言うものです。また、通信を行う際には、中継地が必要となり、その中継地には情報を貯蓄するストレージが用意されます。さらに、ストレージに貯蓄された光子を取り出す技術も、理論・実験ともに研究されています。我々の研究では、すでに情報を持つ光子が原子ガスに貯蓄されている事を前提とします。その原子ガス(三つのエネルギー状態を持つ原子)に十分に弱い強度のレーザーを当てると、ラマン散乱が起こり得ます。その散乱されたレーザーの光に量子測定を行う事によって、光子の状態を増幅する代わりに、原子の状態を確率的に増幅できる事を近似的に示しました。さらに、この増幅のプロセスの中でどのような物理がノイズの原因になるのかと言う事に加えて、光子の状態を増幅する場合とどう異なるかについても、定性的に議論しました。将来的に、量子情報の増幅と貯蓄を一つのプラットフォームで行う事により、より効率的なプラットフォームの開発の開発が期待できます。


審査員コメント:

Without knowing novelty of this study because of my ignorance, the proposed approach of “a memory based probabilistic amplification as a new approach to amplification of quantum information” appears to be an excellent idea. (横田先生)

量子情報というホットなテーマの論文。概要がわかりやすく書かれていることも考慮した。大学院生としての論文であることも考慮し、一層の研究進展の励ましとしたい。(木原先生)

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