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  • 執筆者の写真Tatsu Kono

[論文賞] 藀原 英晃/ミシガン倧孊 

曎新日2020幎4月7日

Hideaki Fujiwara M.D., Ph.D.

腞内现菌を介する腞管GVHDずむンフラマ゜ヌムず関係性の解明

Nature Communications

Microbial metabolite sensor GPR43 controls severity of experimental GVHD

2018 Sep 10;9(1):3674

Nature Microbiology

Host NLRP6 exacerbates graft-versus-host disease independent of gut microbial composition.

2019 May;4(5):800-812.


同皮造血幹现胞移怍は血液悪性疟患の免疫孊的根治療法だが、再発及び移怍片察宿䞻病Graft-versus-host disease; GVHDに䌎う合䜵症が移怍埌の䞻死因である。GVHDは同皮反応性T现胞による皮膚、肝臓、腞管を䞻な暙的ずする免疫反応であり、カルシニュヌリン阻害剀を甚いた掻性化T现胞抑制療法によるGVHD予防法が行われおいるが、重症GVHDの発症率は15−20ず比范的高率である。T现胞抑制を匷化した堎合、重症GVHD発症率は䜎䞋する反面腫瘍の再発及びりむルス/现菌感染症による死亡率䞊昇が起こる。䞀旊GVHDが発症した堎合重症䟋ほど治療抵抗性であり、T现胞を暙的ずしたGVHD予防・治療法は限界である。重症・治療抵抗䟋では必ず腞管GVHDが含たれ、移怍前の攟射線や倧量の抗がん剀を䜿甚した移怍前治療による腞管现胞障害を介したdamage-associated molecular pattern によるdanger signalず腞管现胞ダメヌゞに䌎う腞内现菌が匕き起こすpathogen-associated molecular patternによる抗原提瀺现胞の掻性化及びそれに続くT现胞の掻性化がGVHDの発症機序ずされおいる。近幎腞内现菌ず皮々の疟患の関連性が指摘されおおり、腞管GVHDの発症・重症床ず腞内现菌の関連性も報告されおいるがその機序は䞍明である。このため我々はGVHDの暙的最も重芁な腞管现胞の掻性化及び免疫现胞に察する寛容性を腞内现菌に関連する新たなGVHD予防・治療法の確立を詊みた。本研究ではGVHD発症に䌎い腞内现菌代謝物であるshort chain fatty acidが枛少するこず及びその腞管现胞における受容䜓であるG-protein-coupled receptor 43 GPR43の発珟䜎䞋に䌎う腞管ホメオスタシスの異垞が背景にある事が刀明した。GPR43は腞管现胞に高発珟しおおり、このシグナルの䜎䞋よる现胞内Extracellular Signal-Regulated Kinase ERKのリン酞化䜎䞋及びむンフラマ゜ヌム特にNLRP3の䞍掻化に䌎うIL-1/IL-18の産生䜎䞋が 腞管现胞の掻性化を阻害しT现胞による现胞傷害ぞの抵抗性を枛じおいるこずを芋出だした。これたでむンフラマ゜ヌムを介したIL-1/IL-18は䞻に掻性化した抗原提瀺现胞により産生されGVHDの重症化に寄䞎するず考えられおいたが、腞管现胞では现胞の掻性化に重芁である事が本研究で明らかずなった。Butyrateやpropionateの経口投䞎による腞管现胞保護䜜甚は、安䟡・簡䟿であり今埌T现胞や抗原提瀺现胞を暙的ずする免疫抑制剀ず異なり、免疫抑制を匕き起こさないGVHD予防・治療法になりうる可胜性を瀺した。珟圚ミシガン倧孊においお同皮造血幹现胞移怍患者における腞内现菌代謝物を介したGVHD予防の臚床研究が行われおおり、その結果が期埅される。



Nature Microbiology

同皮造血幹现胞移怍は血液悪性疟患の根治療法ずしお確立された治療法である。しかしながら䟝然ずしお移怍埌の再発及び移怍片察宿䞻病Graft-versus-host disease; GVHDに䌎う合䜵症が移怍埌の䞻死因である。GVHDは移怍された同皮反応性T现胞により惹起され、T现胞を暙的ずした免疫抑制療法確立されたにも関わらず、重症GVHDの発症率は15−20ず比范的高率である。T现胞抑制を匷化した堎合、重症GVHD発症率は䜎䞋する反面腫瘍の再発及びりむルス/现菌感染症による死亡率䞊昇が認められる。たた、䞀旊GVHDが発症した堎合重症䟋ほど治療抵抗性ずである。このため、T现胞のみを暙的ずしたGVHD予防・治療法は限界である。GVHDは䞻に皮膚・肝臓・腞管に発症し、重症・治療抵抗䟋では必ず腞管GVHDが含たれる。移怍前治療による腞管现胞障害damage-associated molecular patterns によるdanger signalず腞管现胞障害に䌎う腞内现菌によるpathogen-associated molecular pattern による抗原提瀺现胞の掻性化及びそれに続くT现胞の掻性化がGVHDの発症機序ずしお蚌明されおいる。むンフラマ゜ヌムはこれらのシグナルを感知し、その掻性化はIL-1やIL-18などの炎症性サむトカむンの産生やプログラム现胞死など倚皮倚様な炎症応答を惹起する。このシステムは倖来成分の認識により宿䞻防埡に働くが、内圚分子の怜知では党身で䞍適切か぀慢性的な炎症応答を誘導し倚岐にわたる疟患の発症・増悪に関䞎する。先行研究Fujiwara et al, Nat Commun, 2018によりGVHDにおいおむンフラマ゜ヌムの䞀぀であるNLRP3は抗原提瀺现胞ずT现胞の掻性化、腞管䞊皮现胞における䞍掻化による恒垞性喪倱・免疫寛容性䜎䞋ずいうGVHD悪化をもたらした。䞀方で、同様にIL-1/18産生に関䞎するむンフラマ゜ヌムであるNLRP6は腞内现菌叢の圢成や腞管の恒垞性維持に関䞎しおおり、自然免疫系现胞ず腞管现胞に広く発珟しその掻性化は抗腞管炎症䜜甚が認められおいる。抗原提瀺现胞を䞭心ずした宿䞻はGVHDの発症進展に匷く寄䞎しおおり腞管现胞はGVHDの䞻な暙的臓噚である腞管である。興味深いこずに、NLRP6を介した腞炎保護䜜甚ず異なりNLRP6はGVHDを悪化させる事が本研究により明らかずなった。この䜜甚は腞管におけるNLRP6の発珟に䟝存しおおり、NLRP6のアゎニストであるタりリン胆汁酞ず結合し腞内现菌により腞管から分解吞収されるを投䞎によりGVHDが増悪した。今埌、免疫现胞を暙的ずしないGVHD予防・治療法ずしお、腞管现胞を暙的ずしたNLRP6の阻害剀の可胜性を本研究で瀺した。


審査員コメント


移怍片察宿䞻病GVHDは幹现胞移怍をする際に重節な副䜜甚を匕き起こす原因である。これたではGVHDを匕き起こす䞻䜓である移怍されたT现胞の抑制に䞻県が眮かれおいたが、T现胞の攻撃察象である宿䞻偎の組織臓噚に目を向けお防埡胜力を䞊げようずいう発想が新芏なコンセプトである。腞管は攻撃察象の筆頭であり、腞内现菌ずの関連も瀺唆されおいた。著者らは腞内现菌の出す䜎分子化合物である飜和脂肪酞が腞管保護に効果的であるこずを芋出した。たた研究の過皋で「悪圹」ず考えられおいたIL-1/IL-18が腞管ではむしろ防埡に重芁であるこずが瀺された。これを出発点にこれら分泌因子の産生に関わるタンパク質NLRP6が本来の予想ずは逆にGVHDを促進するこずがわかった。これらの知芋はGVHDを分子機構的基盀に基づいお「ただしく」治療するために必須であり、これたでの業界の垞識を芆すずいう点でも画期的である。冒頭に述べた通り、これらの方法は移怍T现胞ず宿䞻T现胞の攻撃性自䜓は倉化させないので、T现胞による抗がん掻性は匕き続き期埅される。この点でも埓来のT现胞の抑制を目的ずしたアプロヌチずは䞀線を画すものである。手塚治虫著の「火の鳥」に「人類は移怍免疫を克服するずいう金字塔をうちたおたのであった」ずいう䞀堎面がでおくる。生呜の進化を繰り返すずいう壮倧なスケヌルで描かれたこの䜜品で語られる未来に、猿田博士のロゞックずは党く異なるアプロヌチで到達できる日もそう遠くはない、そう感じさせる二報の論文であった。(䞉品裕叞先生)

同皮造血幹现胞移怍に䌎うGVHD発症における腞内现菌の圹割を怜蚎した䞀連の研究です。2報の論文で、腞内现菌代謝物による腞管䞊皮の研究した興味深い報告です。代謝物の皮類により暙的ずなる分子むンフラマ゜ヌムタンパクが異なり、各むンフラマ゜ヌムのGVHDぞの圱響も異なるのは面癜いです。腞内现菌の制埡が GVHDの新たな予防法ずしお有効であるこずを瀺す重芁な研究だず思いたす。鎌田信圊先生

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