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執筆者の写真Jo Kubota

[奨励賞]増子 峻矢/ヤンセンファーマ

Shunya MASHIKO, Pharm, Ph.D.
[分野:免疫アレルギー]
(年齢に応じた自己反応性抗体レパートリー変化)
Science Advances, 15-July-1905

概要
自然抗体は体液性免疫の自然免疫作用において重要な役割を担っていると考えられていますが、その発生や多反応性の性質は依然として不明な点が多いままです。我々は、モノクローナルな自然抗体が生体内分子に共通して存在している化学的に修飾や付加された部位を認識する性質があることを示しました。これらは、自然抗体で確認される多反応性は抗付加物抗体として説明可能である点が多いこと示しています。また、出生から老年期までの期間において、免疫グロブリンである IgM および IgG の遍在的な 81 個の付加物に対しての反応性も調べました。新生児における IgM は特定の付加物にのみ反応し、非常に画一的なレパートリーを示しました。しかし、生後 6 ヶ月頃からレパートリー は急激に多様化を示し、環境抗原や年齢によるエピジェネティックな修飾を通して抗体を獲得したと考えられます。対照的に、IgG レパートリーは生涯を通じて多様性を示していました。我々の研究は、一般的な生体内分子である付加物に対しての抗体反応性を示し、体液性免疫における新たな側面を明らかにしました。 これらの発見は、恒常性維持機能および病理学的状態における生体内付加物に対しての B 細胞応答の役割に関して基盤となり得ると考えられます。

受賞者のコメント
 この度は、UJA論文賞・免疫アレルギー分野にて奨励賞に選出していただきことに感謝しております。ありがとうございました。また、本研究を共に進めてまいりましたDr. Zornおよびチームのみんなに感謝の意を表すると共にUJA論文賞の運営に携わっていらっしゃる皆様に御礼申し上げます。

審査員のコメント
神尾 敬子 先生:
新生児期から成人期への移行期に生体内不可物に対するIgMレパートリーが急激に多様化することが示されており、自己免疫疾患等に対するB細胞応答の役割の解明など、今後の発展が期待できます。

小野寺 淳 先生:
化学修飾に対する抗体の研究ということで、今まであまり着目されていない内容に焦点を当てたユニークな研究であると感じました。ペニシリンに対するアレルギーも似たような機構で生じると教科書には書かれているので、本研究で行われたbroadな解析は今後の免疫学の発展に寄与するでしょう。IgMとIgGのプロファイルがあまり相関しないという発見は非常に面白く、今後データを増やして更なる裏付けができれば免疫系の常識を変えてしまうような発見に繋がるかもしれません。

エピソード
1)研究者を目指したきっかけ
高校の時に生物で習う免疫細胞の多様性に興味を持ったのがきっかけです。

2)現在の専門分野に進んだ理由
前職のモントリオール大学では乾癬の皮膚免疫に重要な樹状細胞やT細胞を主に研究していたので、B細胞にも興味を持ったことがきっかけです。コロンビア大学のプロジェクトでは免疫だけでなく薬学の知識が活かせそうだったため本研究に参加しました。

3)この研究の将来性
恒常性に寄与する自然抗体が自己免疫疾患と深く関わっている可能性を示すことができると考えています。

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