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執筆者の写真cheironinitiative

[奨励賞]森 英毅/慶應義塾大学医学部

Hideki Mori, M.D., Ph.D.
[分野:ベルギー・ドイツ]
(非侵襲的胃癌マーカーの開発)
Annals of Medicine, 14-July-1905

概要
ペプシノーゲン(PG)I値とPGI/PGII比で判定するPG法と血清ヘリコバクター・ピロリ抗体を組み合わせたABC検診が胃癌リスクのスクリーニング検査として、広く用いられるようになりつつあるが、PG I/II比は除菌後に上昇する事が知られ、除菌後患者の胃癌リスクを正確に評価出来ない。我々は血清グレリン値の除菌後胃癌リスク患者のスクリーニング法としての有用性を検討した。ピロリ菌除菌前後で総グレリン値、アシルグレリン値は有意な変化を認めなかった。一方で、平均PG I/II比は除菌後有意に上昇した。血清グレリン値は胃癌のリスク因子である胃粘膜萎縮を反映し、除菌後においても安定していた。血清グレリン値は除菌後を含め、胃癌リスクスクリーニング検査として有用である可能性が示唆された。

受賞者のコメント
ありがとうございます。大変光栄に思います。

審査員のコメント
大久保 正明 先生:
除菌後胃癌のリスク管理は難しく、内視鏡フォロー以外のリスクスクリーニング検査の今後の発展が期待されます。

須藤 晃正 先生:
癌は日本人の死亡率1位であり、胃がんは癌の中においても頻度の多い癌の一つであることから、注目すべき研究と言える。Mori等の研究は日本人を対象に行われ、血清グレリン値が既存のPGⅠ/PGⅡと比べ、ヘリコバクター・ピロリの除菌に影響されることなく、胃粘膜萎縮を反映していることを報告した。この研究結果より、血清グレリン値が胃がんのスクリーニング検査として今後期待される。

谷 哲夫 先生:
胃がんリスクの評価として既存で使用されているマーカーに代わり血清グレリン値が新規のスクリーニング検査として有用な可能性を示した実臨床に直結する研究と考える。

矢川 真弓子 先生:
現在の胃癌リスク評価は食道胃十二指腸内視鏡検査と病理検査がゴールドスタンダードであるが侵襲的である。血漿中グレリン値は胃癌のリスク層別化を非侵襲的に評価できる点は非常に有用であると考える。

エピソード
1)研究者を目指したきっかけ
医学の分野では経験則や何となくの慣例で、行われる医療が実はエビデンスがなく、効果がない事が未だに多くあります。1つ1つ実臨床家が必要とする知見を積み上げていく仕事に興味を持ちました。

2)現在の専門分野に進んだ理由
臨床と研究のバランスが取れる分野です

3)この研究の将来性
自分達の仕事で全国、世界の同業者の明日からの診療が変わります。

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