卵巣がんは未だ5年生存率が50%未満の予後不良の婦人科がんである。近年卵巣がんに対する新規治療薬の開発促進に伴い、卵巣がんの生存者はわずかではあるが増加傾向にある。よって、卵巣がん患者ががんの診断後に行える予後改善につながるライフスタイル因子の発見は、卵巣がんの予後改善に重要であり急務である。慢性炎症が卵巣がんの発生および進行に寄与していることはわかっているが、炎症を促進するような食事の摂取が卵巣がんの生存に与える影響に関してはデータが限られている。本研究は、Nurses' Health Studiesという米国の大規模前向きコホートデータを用いて、1,003名の卵巣がん患者において、卵巣がんと診断される前後に炎症を促進させる食事を摂取したことと生存予後との関連を検討した。その結果、卵巣がんと診断される前後に炎症を促進させる食事の摂取量が少なかった群と比較し、卵巣がん診断後に炎症を促進させる食事を多く摂取した患者群は卵巣がん関連死亡および全死亡リスクが高いことが分かった。本研究結果より、卵巣がん診断後に炎症を促進する食事パターンを摂取することが死亡リスクの上昇につながることが示され、卵巣がん患者への食事療法の有効性が示唆された。
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