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[特別賞]奥村 賢治/ニューヨーク医科大学

Kenji Okumura, M.D.
[分野:Tomorrow 1]
米国でのCOVID19患者への肺移植の成績
Clinical Infectious Diseases, 23-June-2023

概要
コロナウイルス病(COVID-19)に関連する末期肺疾患を持つ患者に対して、肺移植は、生活の質と生存期間の延長という利益を提供することができる。これらの肺移植受容者の特性と結果は、主に単一の医療施設での経験に限られ、短期間のフォローアップのみしか報告がない。本研究では、2020年8月から2022年6月までに行われた、COVID-19関連の末期肺疾患の成人肺移植レシピエント及びドナーの特性を、米国臓器ネットワークデータベースを使用して分析した。研究期間中、COVID-19関連の末期肺疾患の肺移植が合計400例行われ、全米の肺移植の8.7%を占めた。COVID-19グループでは、ヒスパニックの男性が有意に高い割合で肺移植を受けました。COVID-19グループはより若く、集中治療室滞在、人工呼吸器、血液透析、体外膜酸素化支援、肺移植前の抗生物質の投与がより必要でした。彼らの肺割り当てスコアは高く、待機リストの時間は短く、非COVID-19受容者と比較して二重肺移植が多かった。移植後、COVID-19コホートは入院期間が長く、1年間の患者生存率は同等であった(COVID 86.6%対非COVID 86.3%)。移植後、COVID-19関連の死亡は肺移植レシピエント全体の死亡の9.2%でした。
本研究にて、肺移植は、COVID-19からの末期肺疾患を患者に対する有効な選択肢を提供し、非COVID-19原因の肺移植レシピエントと同様の短期および長期の結果をもたらすことが示された。

受賞者のコメント
ありがとうございます。大変光栄です。今後も頑張りたいと思います。

審査員のコメント
前田 豊 先生:
COVID-19患者に胚移植を行なった事例の解析を行なった重要な論文と思います。データベースの活用は重要であり、実際のデータのさらなる収集、またCOVID-19感染肺の網羅解析が著者によって将来的に行われることに期待します!

丹野 修宏 先生:
世界的に見るとCOVID-19の末期肺疾患の方針を決める上で非常に重要な論文であると思います。これまで短期的なフォローアップデータしか無かったことに対し、1年生存率が既存の肺移植と同等であったことは患者家族への説明の際、大きな説得力を持たせると考えます。

児島 克明 先生:
本研究は、COVID-19に関連する末期肺疾患を持つ患者に対する肺移植の予後を、米国臓器ネットワークデータベースを用いて評価したものである。COVID-19グループは非COVID-19グループに比べて重症度が高かったにも関わらず、proepnsity matchingを通じた予後の比較では、1年後の成績が非COVID-19グループと同等であることが明らかにされた。この研究は世界的に注目されるCOVID-19の予後に関する貴重な研究であり、肺移植という稀な治療法の成績を大規模なデータベースを通じて明らかにした点で特に重要である。また、ヒスパニック男性における肺移植の高い比率は、社会的な健康格差にも関わる問題を浮き彫りにしており、今後の治療方針に影響を与える可能性がある。この研究によって、COVID-19に関連する末期肺疾患に対する肺移植は、非COVID-19原因の肺移植レシピエントと同様の短期および長期の成果をもたらす有効な選択肢であることが示唆されている。

エピソード
1)研究者を目指したきっかけ
自分の気になることを調べるのが好きであったため。
2)現在の専門分野に進んだ理由
移植外科に興味があり、魅力的であったため。
3)この研究の将来性
今後の重症COVID罹患患者さんへの治療の選択肢の一つとなれば良いと思う。
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