40歳、女性のComputed TomographyのデータをもとにL4椎体から骨盤、大腿骨にいたる正常有限要素(IN)モデルを作成した。本モデルから、L4-S1固定(S1F)モデル、L4-S2AI screw固定(S2F)モデル、S2AI screwを2本設置したL4-dual SAI screw固定(DSIF)モデル、S2AI screw周囲に1.5mmのゆるみを設置したL4-S2AI screwゆるみ(S2L)モデルを作成した。本モデルに400Nをかけたうえで10Nmの屈曲、伸展、側屈、回旋モーメントを加えたときに股関節軟骨にかかるvon Mises応力を計測した。結果は、屈曲、伸展、側屈、回旋いずれの場合においてもDSIFモデルで最も股関節の応力が増加しており、S2Fモデル、S2Lモデル、L4-S1モデル、INモデルと続いた。本結果から腰椎固定における骨盤固定の強度が増加することに比例して股関節軟骨に加わる力学的ストレスが増加し、変形性股関節症を惹起する可能性を示唆している。
臨床において骨盤固定は術後のアライメント維持のため回避することが困難である場合が多いが、本研究結果から必要以上の骨盤固定(dual S2 AI screw)を行うことは股関節に新たな病変を生み出すリスクがあり、可能な限り回避することが望ましいと考える。
受賞者のコメント
この度は名誉あるUJA特別賞をいただき誠にありがとうございます。本研究論文は小生がRush University Medical Centerでさせていただいた最初の研究になります。これまでわれわれは脊椎骨盤固定術後の変形性股関節症の病態が骨盤固定による隣接関節障害であることを提唱してきました。今回の研究は腰椎固定における骨盤固定の強度が上昇するにつれて股関節の応力が増加することを有限要素法を用いて示させていただきました。
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