この問いに答えるため、申請者は因果媒介分析という因果推論の手法を用いて、アルドステロン高値によって引き起こされる冠動脈石灰化(潜在性動脈硬化症の主要マーカー)の①直接効果(血圧上昇を介さない効果)と②間接効果(血圧上昇を介した効果)を推定した。使用したコホートは、心疾患既往のない米国6地域の白人・黒人・ヒスパニック・中国系アメリカ人(45-84歳)を対象とした前向き観察研究:the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA)である。降圧薬を内服しておらず、アルドステロン濃度が測定された700名において、アルドステロン高値は冠動脈石灰化と強く関連しており(中間フォローアップ期間6.4年)、その45%程度が血圧上昇を介していた(①直接効果:1.17 [0.96-1.37]、②血圧上昇を介した間接効果:1.06 [1.02-1.18])。本関連はアルドステロンを制御しているレニンというホルモンが抑制されているほど(アルドステロンがレニンの刺激ではなく自律的に過剰分泌しているほど)、強く認められた。
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