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執筆者の写真cheironinitiative

[論文賞]北原 大翔/シカゴ大学

Hiroto Kitahara, M.D.

[分野7:Team WADA]
(完全内視鏡下冠動脈バイパス術とPCIによるハイブリッド治療の中期成績)
The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, May 2019

概要
冠動脈狭窄に対する治療法には、外科医が行う冠動脈バイパス術と内科医が行う経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention: PCI)の2つが存在していた。近年では両治療法を複合したハイブリッド治療の有用性が注目されている。ハイブリッド治療のコンセプトは、冠動脈多枝病変に対して長期成績の良い左内胸動脈を用いたバイパス術を行い、残った病変に対してはPCIを行うことで、低侵襲で術後の合併症を減らし社会復帰を早めるとともに、長期成績の改善を目指すものである。最近では通常の冠動脈バイパス術に代わり、手術ロボット支援下に完全内視鏡下冠動脈バイパス術(Totally Endoscopic Coronary Artery Bypass: TECAB)を行うことが可能になっており、ハイブリッド治療もさらなる低侵襲化が進んでいる。本研究では当院で施行されたロボット支援下TECABとPCIのハイブリッド治療の中期成績について後方視的に調査した。研究期間中にロボット支援下TECABを施行された308例の内、57例がハイブリッド治療としてPCIを術前後、もしくは同時に施行された。 TECAB後の周術期死亡はなく、平均入院日数は3日であった。今後TECABとPCIを組み合わせたハイブリッド治療の有用性を確認するために、さらなる長期成績の解析とランダム化比較試験が必要である。

受賞者のコメント
名誉ある賞をいただけてとても嬉しいです。

審査員のコメント
月岡祐介 先生:
世界的にみても限られた施設でしか行われていないTECABを扱った論文。TECABでは技術的に右冠状動脈にバイパスできない(難しい)ためPCIと併用して低侵襲の特性を維持できるハイプリット(TECAB+PCI)法は非常に興味深い対象である。Single centerの臨床成績をであるが、対象患者数はこの分野においては非常に多く結果も信頼できる。ハイブリット法におけるoutcomesにおいてnon-inferiorを示唆し、低侵襲の利点を維持できることを示している。一流雑誌JTCVSに掲載されていることからも注目度が高いと言える。

塚越 隼爾 先生:
ダヴィンチ補助下の冠動脈バイパス術totally endoscopic coronary artery bypass (TECAB)とカテーテルステント留置術(PCI)を用いたアドバンスドハイブリッド冠動脈再建術の中期成績の報告です。両側の内胸動脈を使用したのが87%であるのも特徴的だと思います。3年生存率が92%、冠動脈再介入回避率が80%と良好な結果がでています。入院滞在日数が約3日で非常に短く低侵襲の利点と良好な臨床成績が素晴らしいと思います。

エピソード
1)研究者を目指したきっかけ
就職に有利だと思ったからです。
2)現在の専門分野に進んだ理由
心臓外科医になったらモテるかと思いました。
3)この研究の将来性
新たな心臓手術のオプションとして有効であることを期待しています。
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