[論文賞] 小藤智史 /東京医科歯科大学
- cheironinitiative

- 2021年3月29日
- 読了時間: 2分
Satoshi Kofuji Ph.D.
GTP代謝リプログラミングによる核小体活性化とがん化メカニズム
IMP dehydrogenase-2 drives aberrant nucleolar activity and promotes tumorigenesis in glioblastoma
Nature Cell Biology
2019年8月
癌細胞は非常に高い増殖能を有している。この高い増殖能を維持するために、癌細胞は核小体におけるリボソームRNAやトランスファーRNAの転写を上昇させ、タンパク質合成を活性化させている。しかし、上昇した核小体における転写と腫瘍形成を繋ぐメカニズムはほとんど明らかとなっていなかった。
私たちは、グアニンヌクレオチド生合成の律速酵素であるIMPデヒドロゲナーゼ-2(IMPDH2)が、致死性の高い脳腫瘍である神経膠芽腫で過剰発現していることを見出した。この発現上昇は、リボソームRNAやトランスファーRNA合成の増加、および核小体の肥大化を引き起こした。神経膠芽腫においてIMPDH2を薬理学的または遺伝的に阻害したところ、上記のRNA合成や核小体の肥大化が抑制され細胞増殖が阻害された。一方、正常グリア細胞では、IMPDH2の阻害は核小体の形態や細胞増殖に影響を与えなかった。私たちの結果は、神経膠芽腫におけるIMPDH2の発現上昇が、腫瘍形成につながる異常な核小体の機能の発生に必要であることを示している。
審査員のコメント:
悪性腫瘍細胞の増殖が主にGTPのde novo生合成に頼っているという非常に興味深い結論は同位体標識グルコースを用いた定性・定量解析により強固に支持されている。(本間先生)
本論文では、がん細胞が高い増殖能を有しているメカニズムを核小体におけるリボソームRNAやトランスファーRNAの上昇に注目して、致死性の高い脳腫瘍である神経膠芽腫を用いて研究が行われています。(荒木先生)
受賞コメント:
どうもありがとうございます。この研究に関わった佐々木ラボの皆様、そして共同研究者の方々に感謝したいと思います。
エピソード:
最初何度もリジェクトされてしまったり、リバイス中に競合相手から論文を出されたりとヒヤヒヤしました。しかし、帰国してからも日本とアメリカで時差にも負けず諦めなかったことが良い結果につながったのだと思っています。



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