常染色体劣性多発性嚢胞腎のin vitroモデルを作成し、FDA認証済みの治療薬の作用機序・治療効果を検証している論文である。筆者が記している通りヒト幹細胞培養技術により3D組織構造を持つヒトオルガノイドの再生技術は近年急速に進んでいるが、molecularレベルでは実際のヒト実質臓器のそれとはまだ機能的に「再現」しているとは言えず生理学的な検証を行うに十分な類似性を持つには至っていない。そこで筆者らはオルガノイドモデルと臓器オンチップ技術を組み合わせオルガノイドオンチッププラットフォームを樹立した。本研究ではそれが多発性嚢胞腎のin vitroにおける生理学的に適切なモデルであると客観的に証明されており非常に意義深いと思われる。既知のF D A認証済みの治療薬の効果検証においては、小児期にも使用し得るかもしれないR-naproxenに嚢胞形成の抑制作用があることを示唆した検証結果は非常に今後の臨床応用を期待させるものである。新規性、将来性の高い優れた研究であると思われる。
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