[論文賞]村田鎮優/和歌山県立医科大学
- Tatsu Kono
- 4月13日
- 読了時間: 3分
Shizumasa Murata, M.D., Ph.D.
[分野:ジョージア]
論文リンク
論文タイトル
Motor Strength Measurements Obtained Using an Inexpensive Spring Tensiometer and a Clinical Dynamometer Correlated Well: A Prospective Cohort Study.
掲載雑誌名
World Neurosurgery
論文内容
本研究では、筋力評価の主な方法である徒手筋力検査が主観的である一方、携帯型ダイナモメーターは客観的な測定を可能にするが、その高額なコストが普及を妨げている点に着目しました。本研究の目的は、手頃な価格で利用可能なばね式テンシオメーター(ST)が、ダイナモメーターの代替として使用可能かを検証することです。
対象は26名の外来患者で、上下肢の筋群についてテンシオメーターとダイナモメーターを用いて筋力を測定しました。ペアt検定、ピアソンの相関係数、Bland-Altmanプロット分析を用いて両器具の信頼性と測定精度を評価し、さらに重回帰分析で測定値の差に影響を与える要因を解析しました。
その結果、合計260の筋力データを解析したところ、両器具の測定値には強い相関が認められ、精度も高いことが示されました。重回帰分析では、測定値の差は元々の筋力や筋群によって説明される一方、性別、年齢、BMI、左右差には有意な関係が認められませんでした。特に上腕二頭筋および上腕三頭筋の測定では、相関が非常に高く、STがダイナモメーターの代替として十分活用できることが示されました。
結論として、ばね式テンシオメーターは携帯型ダイナモメーターと同等の精度を持ち、さらに低コストで導入可能な点で、臨床現場における筋力評価をより手軽かつ効果的に実践する手段として優れています。この結果は、高額な医療機器を使用せずとも精度の高い筋力評価を可能にし、幅広い医療現場での応用が期待されます。
受賞者のコメント
この度はUJA論文賞という名誉ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。審査に関わってくださった先生方、そして研究を支えてくださった共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。臨床と研究の両立は決して容易な道ではありませんが、本賞を励みに今後も研鑽を積み、臨床医としての視点を生かした研究に取り組んでまいります。本研究が少しでも臨床の発展に寄与できれば幸いです。
審査員コメント
斧 正一郎先生
筋力評価の方法として、テンシオメーターを使うと低コストかつ高精度な測定を可能にできることを明らかにした研究として、臨床現場ですぐにでも応用できそうな有用な情報である。応用分野は、やや限定的ではあるが、今まで他の研究者や医師たちがやらなかった方法に着目した点で、高く評価できる。留学2年以内の研究で、データ解析、論文執筆、さらに責任著者まで務めるなど、この研究で主導的役割があり、ポスドクとして重要な研究成果である。
Shuichi Takayama先生
This paper is significant for the applicant being corresponding author and the results being practically useful. Nice clinical validation data.
受賞者エピソード
1)研究者を目指したきっかけ
医師としての臨床業務に加えて、将来の医療に貢献できるような新しい挑戦をしたいと考えたからです。より良い治療や診断方法を生み出すために、自分なりの工夫や発想を活かせる研究の道に魅力を感じました。
2)現在の専門分野に進んだ理由
整形外科は、より良く生きること、生活の質を高めること、自分らしく人生を全うすることを支える診療科だと考えています。多くの人が幸せで主体的な人生を送れるようにサポートしたいと思い、この道を選びました。
3)この研究の将来性
この研究は、高額な医療機器がなくても正確に筋力を測定できることを証明することを目的としていました。医療費の高騰は世界的な課題であり、工夫次第でコストを抑えつつ、質の高い医療を提供できる可能性があると考えています。
Comentários