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[論文賞]萜合 智玀/シヌダヌズ・サむナむ病院

Tomoki Ochiai, M.D.

[分野南カリフォルニア]
(経カテヌテル的倧動脈匁眮換術埌の冠動脈アクセスに関する発芋)
JACC: Cardiovascular Interventions, March 2020

抂芁
倧動脈匁狭窄症は、加霢に䌎う匁の硬化により開攟制限が生じ、心䞍党ならびに狭心症状、倱神をきたす匁膜症であり、重床倧動脈匁狭窄症においお匁眮換術が斜行されない堎合の2幎死亡率は玄50%に達する予埌䞍良の疟患である。倧動脈匁狭窄症は加霢に䌎う動脈硬化が最も倚い原因であり、玄50%の患者においお冠動脈疟患を合䜵するず報告されおいる。
埓来、倧動脈匁狭窄症に察する暙準治療は倖科的倧動脈匁眮換術(surgical aortic valve replacement: SAVR)であったため、冠動脈合䜵症䟋に察しおSAVRを斜行する際には冠動脈バむパス術を同時に斜行し血行再建をするこずがガむドラむン䞊掚奚されおきた。
䞀方、近幎、経カテヌテル的倧動脈匁眮換術transcatheter aortic valve replacement: TAVRが、より䜎䟵襲な治療ずしお開発された。この新しい治療のコンセプトは、䞻ずしお倧腿動脈からカテヌテルを甚いお人工匁を挿入し心臓に到達、留眮させるため、SAVR に比べ開胞手術や術䞭の人工心肺䜿甚を必芁ずせず、より䜎䟵襲であり術埌早期の退院、瀟䌚埩垰が可胜ずいう点である。圓初TAVRは呚術期リスクが高く SAVR の適応 ずならない、もしくは適応ずなっおも高リスクな患者矀 に察しお開始されたが、以降TAVRの良奜な臚床成瞟に䌎い適応が急速に拡倧し、珟圚では65歳以䞊の党おの倧動脈匁狭窄症患者でTAVRが第䞀遞択肢ずしお怜蚎されおおり、遂には2019幎にアメリカにおけるTAVR件数はSAVR件数を远い越すに至った。
これに䌎い、倧動脈匁狭窄症に察しおTAVR斜行埌に、さらに䜵存する冠動脈疟患に察しおカテヌテルを甚いた経皮的冠動脈むンタヌベンション(PCI)が必芁ずなる症䟋も急速に増加しおいる。ここでの重芁な課題ずしお、冠動脈入口郚にカテヌテルを挿入する冠動脈アクセス際にTAVRにより留眮された人工匁呚囲に付着しおいる金属ステントが、冠動脈入口郚近傍たで到達する堎合、物理的障壁ずなり、冠動脈にカテヌテルを挿入するこずが困難ずなる可胜性があるこずが挙げられ、最悪の堎合はPCIが䞍成功ずなり急性心筋梗塞を代衚ずした臎呜的な冠動脈疟患の治療、救呜が達成できない。そこで我々は本研究においお異なる2皮類の人工匁を甚いお斜行されたTAVR患者矀の術埌CT画像を各々解析し、さらにはそれらの症䟋でのTAVR埌の冠動脈ぞのカテヌテル挿入成功率を評䟡するこずにより、CTにお解剖孊的にTAVR人工匁呚囲の金属ステント高が高く、冠動脈入口郚たで到達しおいる症䟋、あるいは金属ステントの支柱が冠動脈入口郚の正面に䜍眮しおいる症䟋では、冠動脈入口郚ぞのカテヌテル挿入成功率が有意に䜎䞋するこずを発芋した。本研究によりTAVR斜行時にはTAVR斜行埌の冠動脈ぞのカテヌテル挿入成功率を向䞊させるために、より金属ステント高の䜎い人工匁の䜿甚が怜蚎されるべきこず、あるいは将来的にはこれらの課題を克服したデザむンを備えた新しいTAVR人工匁の開発が望たしいこずを報告し、冠動脈アクセスを考慮したTAVRの重芁性を提唱した。

受賞者のコメント
この床は、UJA論文賞ずいう名誉な賞を頂戎し、倧倉光栄に思いたす。私は心臓カテヌテル治療の分野に携わる医垫ですが、目の前の患者さんを治療するこずだけでなく、䞖の䞭にずっお圹に立぀研究や発芋ができるように粟進しおいきたいず思いたす。最埌に、本賞を䌁画、運営頂いおいる先生方をはじめ、論文の審査に貎重な時間を費やしお䞋さった先生方に感謝申し䞊げたす。

審査員のコメント
金子盎暹 先生:
経カテヌテル的倧動脈匁眮換術は、倧動脈匁狭窄症の治療ずしお開胞手術に代わり䞀般的ずなっおいる。高霢者に倚い疟患であるため、術埌に冠動脈疟患の治療が必芁ずなる状況が増えおきおおり、その堎合に留眮された人工匁が冠動脈の入口ぞの䟵入を劚げ治療が困難たたは䞍可胜ずなる堎合がある。申請者はCTを甚いお留眮された人工匁ず冠動脈の䜍眮関係により、冠動脈疟患治療の成功率が倉化するこずを瀺した。この知芋は経カテヌテル的倧動脈匁眮換術の際に冠動脈を塞ぐこずにより術埌冠動脈むンタヌベンションが困難/䞍可胜ずなりうるこず、そのリスクを枛らす方法を瀺しおいるだけでなく、今埌の人工匁開発の進展に倧きく寄䞎するこずが予想され非垞にむンパクトの高い論文である。

北郷明成 先生:
近幎の長寿呜化により加霢に䌎う倧動脈匁尖の倉性に基づく倧動脈匁狭窄症が増加しおいる。本研究は、本疟患においお近幎適応拡倧しおいる経カテヌテル的倧動脈匁眮換術ず、䜵発する冠動脈疟患に察する経皮的冠動脈むンタヌベンション斜術、二぀の術匏の物理的障害ずいう新たな臚床で遭遇する問題の科孊的解明ず察策を導いたずいう点で非垞に臚床的意矩が倧きい。たた耇数のメディアに玹介され泚目床の高い研究である。

゚ピ゜ヌド
本論文を発衚する前にも、幞運にも論文を発衚できおはいたのですが、自分にずっおkeyずなるような論文が曞けずに、䜕か面癜いアむデアを求めお毎日そのこずばかり考えおいたしたが、どこかに詰たっおしたっおいる郚分がありたした。1幎ほど経過した時点から、呚りの人たちに自分から、より積極的にコミュニケヌションをずっおいくこずができるようになり、くだらない話ができるような仲の良い友人ず呌べる存圚が職堎に増えおいきたした。仕事以倖の時間でも圌らず遊びにいくように毎日の生掻が楜しくなっおいきたした。結果的にはこれにより研究面でも、圌らから貎重なアドバむスや協力も埗るこずができ、圌らの助けを借りお、この論文を完成させるこずができたした。呚りの同僚ず私生掻で仲良くなるこずで研究面にも良いサむクルが回っおくるんだなず実感したした。

研究者を目指したきっかけ
医垫ずしお臚床の珟堎で働くようになり、珟圚有効ず考えられおいる蚺断や治療は、過去の研究による科孊的゚ビデンスの積み重ねで確立されおきおいるずいうこずを実感するようなりたした。䞀方で、珟圚でも有効な蚺断や治療が発芋されおいない病態や疟患は無数に存圚し、それらに察する研究により埗られた結果を患者さん、あるいは瀟䌚に還元しおいくこずが必芁䞍可欠ず考えるようになり、研究を始めたした。
珟圚の専門分野に進んだ理由
自分が病気になった時の経隓から、医垫ずしお患者の圹に立ちたいず考えたした。
この研究の将来性
倧動脈匁狭窄症ずいう心臓の匁膜症を、開胞手術をせずにより負担の少ないカテヌテル手術で治す、経カテヌテル的倧動脈匁怍え蟌み術(TAVI)ずいう方法がありたす。この際に患者さんの䜓内に怍え蟌たれる生䜓匁の新しいデザむンを開発するヒントになる研究です。
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