cheironinitiative

2021年3月30日2 分

[特別賞] 合田忠弘 /Cincinnati Children's Hospital Medical Center

Tadahiro Goda, Ph.D.

神経伝達物質によるサーカディアンリズムの制御機構

Neuropeptides PDF and DH31 hierarchically regulate free-running rhythmicity in Drosophila circadian locomotor activity

https://www.nature.com/articles/s41598-018-37107-3

Scientific Reports

2019年1月29日

神経ペプチドは動物の行動において極めて重要な役割を果たすが、その詳細な制御機構は未だに不明である。ショウジョウバエは1日のうちで運動活性のリズミカルな変動を示す。この運動リズムは生体時計であるサーカディアン時計により制御されている。これまでの研究で、神経ペプチドの一つである色素拡散因子(pigment disparsing factor: PDF)がショウジョウバエの運動リズム形成にとって重要であることがわかっていた。我々はこの論文で、別の神経ペプチドである利尿ホルモン31(diuretic hormone 31: DH31)がPDF機能を補完する形で運動リズムを制御していることを発見した。また、DH31はPDF同様、後背側ニューロン1(dorsal neuron 1: DN1)に作用して運動リズムを制御する事を明らかにした。この研究により、複数の神経ペプチドが協働して動物行動を制御する機構の一旦が明らかにされた。

受賞者のコメント:

あまり一般受けする内容ではなかったので正直驚きました。

審査員のコメント:

ハエの運動活性の概日リズム制御には別の神経ペプチドも関与している為、今回の知見は単純にDh31の機能を潰すだけでは得られなかったものである。分子レベルでのメカニズム解明までには至っていないが、サイエンスを着実に進歩させる丁寧な実験努力の好例だと思う。

(本間先生)

本論文では、神経ペプチドがサーカディアンリズムをどのように制御しているのかをショウジョウバエを用いて研究しています。この研究により、神経ペプチドである利尿ホルモン31と色素拡散因子が協働して運動リズムを制御していることが示されました。(荒木先生)

一つのメカニズムの研究としては、logic、テクニックなど全てにおいて優れた論文であり、今後の発展性に期待が持てるものと確信する。(橋詰先生)
 

 

 
エピソード:
 
論文自体はテンポ良くまとまりましたが、第3レビュワーが石頭でこちらも頭抱えました。最終的にはエディターに納得していただきましたが、そのような対処法もあるのかと勉強になりました。
 

 

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