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[奨励賞] 吉田 輝彦 / Northwestern University

Teruhiko Yoshida, M.D., Ph.D.

分野 : がん分野


論文リンク


論文タイトル

Single-Cell Transcriptional Signatures of Glomerular Disease in Transgenic Mice with APOL1 Variants


掲載雑誌名

Journal of the American Society of Nephrology


論文内容

APOL1の遺伝子変異は米国のアフリカ系人口の14%、約600万人が高リスク遺伝子型保有者であり、高リスク遺伝子型を有する人口はHIV腎症をはじめとする種々の腎臓病のリスクが高まることで知られ約30%の末期腎不全患者の原因とされる。それらの腎臓病はAPOL1腎臓病と呼ばれ、詳細なメカニズムは依然として不明であるが治療薬も臨床試験が進められている腎臓研究の世界的ホットトピックである。本研究では、ヒトと同様のAPOL1遺伝子発現を模倣するマウスをベースにHIV腎症モデルとIFN-g静注モデルという2種類の腎疾患マウスモデルを作成し、APOL1遺伝子変異が腎臓病を惹起するメカニズムをシングルセルRNA-seqの手法を主に用いて細胞特異的にAPOL1遺伝子変異が惹起するトランスクリプトーム変化をヒトでのデータとの比較も含め詳細に解析した。腎疾患発症に寄与するとされるポドサイト、内皮細胞それぞれでAPOL1遺伝子変異に伴う変化を2種類のモデルでの比較も含めて解析することで、APOL1腎臓病の治療ターゲットとなりうる経路を報告した。本研究内容はFellows Award for Research Excellence賞をNIHから、Top score in the Basic Science Poster Competition賞をNational Kidney Foundation から受賞した。


受賞コメント

今回の受賞、光栄です。一緒に研究できたNIHの同僚と友人、特にPIのJeffreyに感謝です。


審査員コメント

舘越 勇輝 先生

本研究は変異型ヒトAPOL1遺伝子変異をマウスに発現させ、腎疾患発症リスク増加に寄与しうる経路を報告した貴重な報告である。複数の腎疾患マウスモデルを用いてシングルセルレベルでのトランスクリプトーム解析を行い、さらに得られた知見をヒトの遺伝子発現データセットとも比較検証することで再現性や相違点を評価した点は特筆に値する。今後APOL1腎臓病の新規治療開発につながる可能性を秘めた、将来性のある研究である。



エピソード

最初は推定した表現型が得られなかったり紆余曲折あったのですが、マウスを凍結精子から起こし直すことで表現型を得ることが出来ました。やはり信じて継続することは大事と感じると同時に、結果が出ない状態も後になると糧になっていると感じます。


1)研究者を目指したきっかけを教えてください

治療法がまだ不十分な疾患を持つ患者さんを内科医として診療していて


2)現在の専門分野に進んだ理由を教えてください

どんな患者さんでも見られる医師を目指しつつ深掘りして行ったら今に至ります


3)この研究が将来、どんなことに役に立つ可能性があるのかを教えてください。

この遺伝子変異は米国のアフリカ系透析患者さんの3分の1の原因と言われており、腎不全で人工透析や腎移植を必要とする患者さんを減らせる可能性があります。

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