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[奨励賞] 佐久間 善子 / London School of Hygiene and Tropical Medicine

Yoshiko Sakuma, MPH

[分野:ヨーロッパ]


論文リンク


論文タイトル

Shining a spotlight on the inclusion of disabled participants in clinical trials: a mixed methods study


掲載雑誌名

BMC Trials


論文内容

臨床試験は、医学的・外科的・行動学的介入などの有効性と安全性を評価するために実施されています。その結果は人種や性別、年齢、遺伝的背景など、様々な内因性・外因性要因の影響を受けるため、社会全体に成果を広く適用するには多様な人々が試験に参加することが重要です。しかし近年、障害のある人々を含む「周縁化された集団」が、正当な理由なく臨床試験から除外されてきたことが指摘されており、これが健康格差の拡大に繋がっていることが明らかになっています。

そこで本研究は、英国における障害者の臨床試験参加を阻む要因を明らかにすることを目的に、オンライン質問表とフォーカスグループディスカッション(FGD)を実施しました。障害当事者、家族・介護者、臨床研究スタッフの計45名から回答を得て、さらに5名の障害当事者とFGDを行いました。分析の結果、不十分な募集方法や適格基準の曖昧さから生じる機会の障壁; 障害に対する理解不足といった認識の障壁; 支援体制の不十分さや試験結果の共有不足による受容の障壁が明らかになりました。特に、試験結果の共有に関する課題は既存の枠組では示されてこなかった新たな論点でした。

この結果は、臨床試験参加へのライフサイクルを通じて生じるあらゆる障壁を取り除く必要性を示しており、障害者を含む臨床試験を推進するための法整備、官民連携によるガイドライン策定の重要性、そしてさらなる研究の必要性を示唆しています。


受賞者のコメント

臨床家から研究者を志し、人生で初めて海外に飛び出し、模索しながら執筆した初めての論文が、このような形で評価いただけたことを大変光栄に思います。この受賞の機会を通して、障害のある人々の健康に関する課題に少しでも光が当たり、今後さらに理解や取り組みが広がっていくことを願っております。


審査員コメント


鈴木 幸雄先生

臨床試験の機会に格差があることは非常に大きな問題となっています。特に人種差についての研究は多くありますが、本研究は様々な障害を持つ患者における機会損失をCQにしており、斬新な着眼点です。高度な分析手法は含まれていないものの、フォーカスグループ形式の意見聴取も含めて、臨床試験へのアクセス性の課題を如実に捉えた研究で社会的意義、価値のある研究。


橋田 久美子先生

Thank you for your work. It was well-written. This study examined potential obstacles that prevent disabled individuals from participating in clinical trials in the UK, an issue that is essential for making research outcomes applicable to everyone. Though the sample size was small, conducting a focus group provided valuable additional insights into barriers experienced by disabled individuals. This study has a solid and meaningful contribution to the field. Wishing the authors luck as they continue this important line of research.


宮本 佳尚先生

英国の臨床試験において、障害者の参加を阻害している要因を、当事者、介護者、研究スタッフへのアンケートおよびフォーカスグループ調査を通じて明らかにした研究である。参加者側と研究者側の認識の乖離を浮き彫りにした点で、近年の「すべての適格な参加者に臨床試験への平等な機会を」という潮流に寄与するものである。


神津 英至先生

障害を持つ方々の臨床試験への参加を阻む障壁について、アンケートとフォーカスグループインタビューを用いた混合研究法により解析した、社会的意義のある研究です。試験結果の実臨床への適用において、多様な背景を持つ参加者の確保は本質的な課題であり、その阻害要因を具体化した点は評価されます。本研究のデータが、より公平で科学的妥当性の高い試験デザインの構築に向けた基礎資料となることを期待します。


1)研究者を目指したきっかけ

学生時代は決して勉強が得意だったわけではなく、高校時代には数学のテストで赤点を取り、補講に呼ばれることが多いような学生でしたので、自分がまさか研究者の道を選ぶことになるとは露ほども思ってもいませんでした。ただ、人の話を聞くことが好きで、自分が疑問に思ったことについては納得できるまで自分で試してみたいという生来の性格が、「なぜ?」を思う存分探求できる研究の場へと導いてくれたように思います。


研究を始めてから5年が経った今でも、学問をやっているというよりはむしろ、普段の生活ではなかなか関わることのできない方々のお話を伺い、一緒に働ける機会やその過程に楽しさを感じており、その気持ちが今の自分の研究を支える原動力になっています。


2)現在の専門分野に進んだ理由

「誰もが障害とともに生きる可能性がある」— 障害に関する研究に携わっていると、このトピックがどこか対岸の火事のように受け止められることもあります。しかし、先天的なものに限らず、加齢などの後天的な要因を含め、誰もが障害(people with disabilities)とともに生きる可能性があると考えています。


何か大きなことを成し遂げたいという思いがあったわけではなく、家族が困っていたこと、患者さんが困っていたこと、そうした日常の小さな気づきの積み重ねが、現在の研究につながっています。現在は、障害のある方々を含めた研究の包括性や、性と生殖の健康に関する課題にも取り組んでいます。


3)この研究の将来性

将来的には、障害の有無にかかわらず、誰もが必要な支援を含めて適切な医療にアクセスできる、そんな社会の実現に貢献できればと考えています。


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