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子育て層に届ける科学的根拠に基づいた優しい情報発信

今西洋介 Yousuke Imanishi, M.D., Ph.D.(新生児科医・小児科医)



『医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実―親子の身体と心を守るエビデンス』(今西洋介、日経BP、2025年4月25日刊)は、0〜12歳の子どもと向き合う保護者・支援者に向け、最新の医学的根拠をやさしい言葉で橋渡しする実践的な育児書です。有難い事に発売日即重版し、1万部を超える反響を受け、PIVOTやTBS Cross DIG等の著名なYoutube番組でも解説を行いました。 小児科医・新生児科医の私は、臨床医として新生児・乳幼児医療に携わり、研究者として米国UCLAで疫学・公衆衛生の視点を学んできた経験を、一般向けの言葉と構成に落とし込みました。育児をめぐる不安や分断を和らげ、医療と生活をつなぐ回路を広げる、それが本書の広報の核です。対象は妊娠期〜小学校高学年期の養育者・教育関係者・医療職としています。科学を知識で終わらせず、家庭での実践行動につなげる方向性としました。 育児の世界において、SNSや口コミで広がる“もっともらしい説”や不安商法に距離を置き、なにが科学的に信頼でき、どこに限界があるのかを、臨床と研究の双方の視点から丁寧に整理しました。たとえば「睡眠トレーニングは脳に有害か」「ワクチンは何のために受けるのか」「母親の就労は子の発達に影響するのか」「親の性格は子にどう映るか」といった議論が錯綜しやすいテーマを、複数の一次情報に基づいて解説しています。 本書の編集方針は、①誤情報の是正だけでなく、意思決定を支える考え方の提示、②日本と海外の知見の架橋、③多様な家族形態や価値観への敬意、の三点です。読者が正解を押し付けられることなく、家庭の状況に応じた最適解を選べるよう、実践のヒントと学び直しの入口を提供しました。こうした姿勢は、UJAが掲げる「良質かつ正確な情報発信」「専門的内容のわかりやすい普及」「他者への攻撃性のない発信」「多様性への配慮」と一致します。 本書の特徴としてエビデンスを重視するだけでなく、科学的にわかっていないことは正直に記載しました。更に「決してエビデンスで人を殴る」事はせず、エビデンスが全ての子育て層にとって当てはまる訳ではない事も強調しました。実際に自分も中学生を含む三姉妹を育てる小児科医で育児エビデンスを調べる者ですが、日米での育児でうまくいかなかった・失敗した事を記載しました。重要なのはエビデンスを知った上で、各家庭で判断する情報リテラシーを身につけて欲しいという事です。育児に正解はありませんし、各家庭で最善の方法が異なるからです。 本書は全272頁の単行本として刊行され、エビデンスの原典にあたる姿勢を促すため、研究の読み方や注意点にも触れています。刊行後もSNSでの質疑や講演、ニュースレター等と連動し、読者からの疑問を次の発信に活かしています。 今後も親と子が安心して育児をしていける社会づくりに、科学の様々なカタチで貢献していきます。


受賞コメント

ありがとうございます。とても光栄に思います。


受賞された広報活動に関して、伝えたいエピソード(苦労話、広報を始めたきっかけ、続けてきて良かったことなど)

自分の発信で育児に不安を抱えた親御さん達の一助になれば本望です。


現在の専門分野に進んだ理由

未来を生きる子ども達の笑顔が見たいから


広報活動を行う理由

自分の様々な活動(医療活動含む)を通じて少しでも困っている家庭を救いたいため


審査員コメント

大須賀審査員 

長年にわたって、子育て世代の方に向けての、積極的な情報発信を行なっています。その活動は広範・多彩・膨大で、また科学的根拠に基づき、わかりやすい言葉で伝えていて、決して他人を傷つけない、心やさしいものとなっています。特に、世間には育児についての誤情報が大きく広がっていて、それに影響されて、育児で余計な苦労を強いられてしまう人も多く、そのような方に対しての大きな助けとなっています。科学者が一般の方に向けて行う情報発信活動のお手本とも言える活動で、大変に高い評価をされるべきものと考えます。


赤木審査員

新生児科医としての豊富な経験とエビデンスに基づき、子どもの安全や育児に関する科学的知識を社会に広く発信されています。ドーナツ枕の窒息リスク警告など、具体的で実践的な情報提供により実際に命を救う可能性のある活動は、科学コミュニケーションの新しいカタチのように思います。また、性教育や子どもの性被害防止などのテーマにも真摯に取り組み、母性愛神話など、現実とは異なる価値観を、科学的根拠を示しながら正す姿勢は特筆すべきです。14万人超のフォロワーへの影響力を持ちながら、専門家としての立場を守り、冷静かつ正確な情報発信を継続している点が素晴らしいと思いました。




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