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[奨励賞] 小村 一浩 / 金沢赤十字病院

Kazuhiro Komura, Ph.D., M.D.

[分野:JRCC or NUJRA (シカゴ, イリノイ)]


論文リンク


論文タイトル

Perspective to precision medicine in scleroderma


掲載雑誌名

Front. Immunol.


論文内容

本論文は、強皮症(全身性硬化症:SSc)の多様な臨床像と治療反応性を背景に、患者由来皮膚線維芽細胞を用いた in vitro 精密医療(precision medicine)の実装化を目指す実証報告です。

強皮症は、自己免疫・血管障害・線維化が複雑に絡み合う希少疾患で、遺伝的要因や環境因子が多様に影響し、患者ごとに病態と治療効果が大きく異なります。従来の「平均的患者」を対象としたランダム化試験では有効性の証明が難しく、個別化医療の確立が求められています。

研究では、6例の強皮症患者皮膚由来線維芽細胞に対し、抗線維化候補薬(イマチニブ、バルドキソロン=CDDO、ロシグリタゾン、PGJ₂)を投与し、コラーゲン遺伝子発現の変化を解析しました。その結果、薬剤応答性が患者ごとに大きく異なること、またCDDOが多くの症例で線維化抑制に有効である一方、イマチニブは特定症例にのみ効果を示すことが明らかになりました。これにより、in vitro 薬剤応答プロファイルをもとにした個別治療選択の有効性が示唆されました。

さらに、筆者らはこの臨床‐実験連携の概念を「鼓の調緒理論(Tsuzumi Adjustment Cord Theory)」として提唱しています。これは、病態の多様な経路(スパイラル)を一本の“調緒”で絞り込み、個々の病態の焦点を見出すという比喩的モデルであり、強皮症における病因同定と精密治療開発の指針を示すものです。

総じて、本研究は「表現型や治療効果に多様性の高い強皮症に対し、in vitro系を用いたprecision medicineの実装化に関する実証経過報告」であり、臨床応用可能な個別薬剤選択システムへの道筋を具体的に提示したものです。


受賞者のコメント

この度はこのような賞を受賞でき、大変光栄です


審査員コメント


小林 祥久先生

全身性強皮症の現状と展望についてまとめられています。特に患者由来線維芽細胞を使って事前に薬剤感受性を調べる個別化治療が興味深いです。留学先で実施した実験結果を加えることでより説得力のある提案になることが期待されます。


渡辺 知志先生

全身性強皮症に焦点を当て、Precision medicineの展望を示した論文です。患者由来線維芽細胞を用いて薬物反応を評価し、臨床現場における治療法選択への応用を提案している点が興味深いです。線維芽細胞で得られた薬物反応が実臨床での治療効果とどの程度相関するかは今後の検討課題ですが、難病・希少疾患においても個別化医療を実現しようとする姿勢は高く評価されます。今後、実臨床との対応関係が検証されることで、Precision medicineの実装に大きく貢献する研究になることが期待されます。


磯崎 英子先生

希少疾患である強皮症の新規治療薬の開発に貢献する重要な試験です。今後の更なる発展を期待しています。


黒沼 圭一郎先生

本論文は、全身性強皮症(SSc)の病態多様性に対し、precision medicineに基づく治療層別化の方向性を示している。自己抗体や分子情報、患者由来細胞を統合して捉える視点は、患者ごとの違いを踏まえて治療を考える実践的かつ橋渡し的な発想として評価される。

一方で、Perspective論文であるため、概念の実証や臨床応用については今後の検証が必要であるが、前向き研究などにより本概念が検証されれば、SSc領域におけるprecision medicineの実現に大きく貢献することが期待される。


小田 紘嗣先生

この論文では、全身性強皮症の病態の複雑性、および個別化医療の必要性に関して、これまでの知見を包括的に整理し概説している。特に精密医療(Precision medicine)の観点から疾患分類や治療の選択肢を論じている点は、臨床応用を視野に入れた視点として評価できる。しかしながらこの論文は一部オリジナルデータを含み原著論文としての性格を有するものの、主に総説であり、論文賞として評価するには位置付けが難しい。したがって今回の論文賞の選考においては原著論文としての貢献が明確な論文を優先して評価した。


1)研究者を目指したきっかけ

難病にかかった方の新規治療の開発に関わりたいと思ったからです


2)現在の専門分野に進んだ理由

担当した患者さんが強皮症だったからです。


3)この研究の将来性

この難病は原因も標準的治療法もありませんが、この研究により病態が整理されることが期待されます。


留学中のサポートやコミュニティについて

日本人コミュニティ


留学や研究生活にまつわるエピソード

海外で仕事を始めることは最初は大変かもしれません。すぐに成果を発表できないかもしれません。ただし、続けることで何らかの形になることがあると思いますので、共に頑張りましょう。帯同した息子が、海外に就職しました。

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