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[奨励賞] 小野 萌夏 / Texas A&M University

Moeka Ono, Ph.D.

[分野:サイエンスを遊ぼうの会(ヒューストン、テキサス)]


論文リンク


論文タイトル

The use of newly assimilated photosynthates by soil autotrophic and heterotrophic respiration on a diurnal scale


掲載雑誌名

Biogeosciences


論文内容

植物の炭水化物状態や根からの滲出物が土壌からの二酸化炭素放出を調節することは知られているが、根呼吸を介したメカニズムは理論的段階にとどまっている。

本研究では、米国南部のショートリーフマツ林を対象に、土壌の根呼吸(Ra)と微生物呼吸(Rh)が、植物の生理的要因(総一次生産量:GPP、光合成有効放射:PAR)や土壌環境要因(土壌温度、体積含水率)とどのように連動するかをコスペクトル解析で評価した。

RhはGPPやPARと強い日周期的な関係を示したのに対し、Raの関係は弱く変動が大きかった。これは、日周期スケールでは微生物呼吸が光合成由来の炭素供給に依存し、同化直後の炭素が根や菌根を介して数時間以内に土壌中へ放出されることを示唆している。RhはGPPに対して約2〜4時間の遅れを示し、これは師部内のpressure–concentration wavesの伝播速度と一致していた。RaもRhと同様にGPPとの間に強い共変動ピークを示したが、時間差が一定していなかった。これは、局所的なデンプン貯蔵からの炭素供給によるものと考えられる。

本研究は、光合成で固定された炭素が数時間という短いタイムスケールで土壌呼吸へ伝達される過程を実証的に示し、地上と地下を結ぶ炭素動態の理解を深めるものである。


受賞者のコメント

この度は奨励賞を受賞することができ、とても光栄です。特に自分でアイデアを出して、進めていたプロジェクトだったので、受賞することができてとても嬉しく思います。この論文賞に関わってくださった皆様にも感謝しています。


審査員コメント


Shuhei Ono先生

The measurement method itself, which combines flux chambers and eddy covariance to quantify productivity and respiration, is a traditional technique. What is new is the detailed spectral analysis demonstrating the delay in plant activity vs. soil respiration that the authors attribute to microbial processing of plant exudates. I am not an expert to judge whether this argument is convincing or the approach is truly novel. This paper appears to be an important contribution to the discipline.


正田 哲雄先生

炭素循環というマクロなテーマに対し、数時間単位のタイムラグというミクロな視点でアプローチした点が大変興味深かったです。植物の光合成が土壌微生物の呼吸を急速に駆動するプロセスを、精緻なデータ解析で実証した手法は見事です。こうしたミクロな現象の解明が、将来の気候変動予測など地球規模の課題解決に繋がっていくより広範な意義は、分野を問わず多くの研究者の科学的好奇心を喚起するものと高く評価いたします。


1)研究者を目指したきっかけ

自分やチームでデータを取り、解析するというプロセスが単純に楽しくて、もっと本格的に研究してみたいと思うようになり、大学院への進学、そして研究を続けることを決めました。


2)現在の専門分野に進んだ理由

幼少期から自然や気象が好きで、この分野を学ぶことを学部生の時に決めました。森林の木や土壌には炭素を吸収する役割があり、気候変動や地球温暖化を緩和することができます。

森林でどのように炭素が循環しているかを研究し、こうした気候変動の研究に直接関与できる点に魅力を感じています。


3)この研究の将来性

今回の研究では、木が光合成で得たエネルギーが、短時間のうちに土壌微生物の呼吸(二酸化炭素の排出)の原因になっているということを、森林での直接測定データによって明らかにしました。この成果は、森林がどれだけ炭素を貯め込み、どれだけ排出しているのかをより正確に予測することに役立ちます。将来、より精度の高い気候変動対策や、効果的な森林管理の指針を作ることの一助になるといいなと思っています。

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