[奨励賞] 明神 悠太 / 大阪大学
- UJA Award
- 3 日前
- 読了時間: 4分
Yuta Myojin, Ph.D., M.D.
[分野:がん分野]
論文リンク
論文タイトル
Multiomics analysis of immune correlatives in hepatocellular carcinoma patients treated with tremelimumab plus durvalumab
掲載雑誌名
Gut
論文内容
進行肝細胞がんでは免疫複合療法(抗CTLA-4抗体トレメリムマブ+抗PD-L1抗体デュルバルマブ)が用いられますが、効き目には個人差があります。私たちは、患者さんごとの「なぜ効く/効かないか」を明らかにするため、実臨床の生検組織と血液を28例から収集し、空間プロテオミクス、単一細胞RNA、全トランスクリプトーム、フローサイトメトリー/サイトカインを解析しました。本解析は、腫瘍内の細胞の種類と“どこにいるか”、血液中の免疫状態を同時に解析を行った点が特徴です。奏効例では腫瘍組織に置いてインターフェロン応答と抗原提示が高く、効きにくい例では免疫のブレーキ役である制御性T細胞(Treg)がCD8T細胞の近くに集まり、単一細胞解析でも相互作用があることを明らかにしました。血液でも非奏効群でTreg、奏効群で単球が増加しており、末梢血においてもその反応の一部が観察されました。さらにマウスでCTLA4抗体の投与する方法を工夫するとTregの加が抑えられ、治療効果が向上しました。本治療法の治療抵抗性の鍵は「腫瘍内のTreg分布とCD8T細胞との位置関係」にあることを示しました。本研究は今後の組織検体・血液検査を有する肝細胞癌などの免疫療法の臨床試験において、いかに解析を進めていくかという包括的な解析方法の青写真となる可能性があると考えています。
受賞者のコメント
歴史ある賞に選んでいただいて光栄です。
審査員コメント
氏家 直人先生
進行肝細胞癌患者に対するトレメリムマブとデュルバルマブ併用療法を対象として、多次元オミクス解析を用い、免疫学的相関因子を包括的に検討した研究です。抗原提示経路やインターフェロン応答の活性化が治療効果と関連する一方、非奏効例では腫瘍微小環境における制御性T細胞の集積が顕著であることが示されており、免疫療法の反応機序の理解に重要な知見を提供しています。特に免疫細胞の空間的配置に着目した解析は、今後のバイオマーカー探索や治療戦略の最適化に資する点で高く評価され、今後の発展的研究につながる意義深い報告と考えられます。
今田 慎也先生
臨床に直結する非常に意義のある研究結果だと思います。Non-responderを事前に予測するために、投与前に患者サンプルを回収してin vitroで検証できればさらに臨床的な意義が高まるように思います。さらにはDose strategyがimmune cellのmodulationに大切ということで、これをどのようにprospectiveに個別化できるか、難しい課題だとは思いますがぜひ挑戦していただければと思います。
湯川 将之先生
免疫療法が効く/効かない違いを、腫瘍の中で免疫細胞が「どこにいて、どう関わるか」として分かりやすく示しています。血液検査の変化とも対応づけており、独立コホートでの検証を重ねれば治療前の予測指標づくりに発展が期待できます。
1)研究者を目指したきっかけ
消化器内科医としてがん患者さんと向き合うなかで、自分で新しい治療法の開発やどのような患者さんにどの治療法をしようしたらいいのか判断できるがんという病気のメカニズムを明らかにしたいと考えたため。
2)現在の専門分野に進んだ理由
肝臓がんに対する治療法は最近飛躍的に発展し、とくに免疫チェックポイント阻害薬という宿主の免疫を賦活化する薬剤を含む治療法が用いられます。しかし、治療法に対する反応は患者さんによって異なり、そこにはがんの組織の中や全身での免疫細胞、がん細胞、その他の細胞の相互作用などが関与していると考えています。がん細胞そのものの変化のみならず、まわりの細胞との相互作用からそのがんの特性を明らかにできたらと思いテーマに取り組んでいます。
3)この研究の将来性
肝がんを含む様々ながんの組織や血液サンプルをもちいた網羅的な解析の手法について応用できるかと思います。
留学や研究生活にまつわるエピソード
英語が得意ではないのではじめは苦労しましたが、徐々になれて日常生活は普通におくることができるようになりました。研究室は資金が豊富にあり、恵まれた環境だったと思います。研究室のメンバーとは昼食を一緒に取ったり、パーティーをしたり、スキーやハイキングに出かけたりと非常に充実した留学生活を送ることができました。



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