[論文賞] 冨永 顕太郎/新潟大学
- UJA Award
- 17 時間前
- 読了時間: 4分
Kentaro Tominaga, Ph.D., M.D.
[分野:UC Tomorrow (シンシナティ)]
論文リンク
論文タイトル
Deriving Human Intestinal Organoids with Functional Tissue-Resident Macrophages All From Pluripotent Stem Cells
掲載雑誌名
Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology
論文内容
本研究では、ヒト多能性幹細胞(hPSC)から**機能的な組織常在型マクロファージを含むヒト小腸オルガノイド(HIO)**を作製しました。従来のHIOは上皮や間質細胞を含むものの免疫細胞を欠き、炎症性腸疾患(IBD)などの病態モデルとして不十分でした。本研究では、hPSCから分化誘導した単球/マクロファージをHIOに組み込み、2週間共培養後に解析しました。
結果として、マクロファージはHIO内で生着し、ヒト胎児腸に類似した転写プロファイルを獲得しました。これらの細胞は細菌を貪食し、リポ多糖(LPS)刺激でIL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインを分泌し、IL-10で抑制可能でした。さらに、免疫不全マウスへの移植後も12週間以上生存し、オルガノイドの成長に伴って増加しました。シングルセルRNA解析では、共培養マクロファージがLYVE1陽性胎児型組織常在マクロファージ様の特徴を示し、腸特異的遺伝子発現も確認されました。
本モデルは、腸管免疫発生やIBDの分子機構解明に有用であり、患者由来hPSCを用いた疾患モデルや薬剤評価にも応用可能です。
受賞者のコメント
このたびの受賞を大変光栄に思います。ご支援くださった皆様に感謝し、今後も努力を続けていきたいと思います。
審査員コメント
木村 好孝先生
これまで実現の難しかった、マクロファージを含んだ腸管オルガノイド作製法を樹立しており、とても有用性の高い論文です。オルガノイド中の細胞について、網羅的な遺伝子発現プロファイルや機能を詳細に解析しており、本論文のオルガノイドを利用した研究を行うにあたって重要な情報を提示しています。今後の応用が強く期待されます。
渡邊達也先生
iPS細胞から腸管オルガノイドと機能的マクロファージを同時に構築することに成功した、極めてインパクトの高い成果と考える。
マクロファージの貪食能や炎症応答など機能面まで実証しており、単なる細胞共存モデルではなく、疾患研究・創薬・再生医療への応用可能性が極めて高いことも評価される。
基礎生物学と疾患応用を橋渡しする研究として、専門分野を越えて大きな価値を持つ論文である。
本モデルが炎症性腸疾患や免疫相互作用の解明にどのように発展していくか、非常に期待される。
今田 慎也先生
hPSC-Derived MacrophageがHuman Intestinal Organoidsとco-cultureすることでTissue-resident Macrophageの特性を獲得すること、さらにはBacteriaを貪食するなど本来の機能も獲得するなど大変意義のあるシステムを構築されたと思います。今後、このシステムがAdvanced Basic Science, Translational Medicine,などどのような側面で医学におけるUnmet Evidenceに貢献できるかメッセージを明確に示していただけるとよいと思います。
岩澤 絵梨先生
消化管に存在して発生や生理的機能、さらに病因にも関与しうるTissue-residentマクロファージを腸管オルガノイドに取り入れることで、このマクロファージがヒト胎児腸管に存在するマクロファージと似た遺伝子発現を示し、細菌の貪食等の機能も発揮するようになることを示した大変興味深い研究です。炎症性腸疾患といった免疫細胞の関与する腸管の病気のモデルを可能としうる、とても将来性の高い論文であると考えられます。
西賀 雅隆先生
マクロファージが含まれるヒトiPS細胞由来の腸管オルガノイドを作成し、組織常在型のマクロファージの機能を再現できたことは、今後IBDなどの炎症性腸疾患の研究のplatformとして期待できると思います。
1)研究者を目指したきっかけ
研究を通じて得られた知見が、将来誰かの役に立つことに魅力を感じ、研究者を目指しました。
2)現在の専門分野に進んだ理由
現在は、消化管の病気と腸内環境の関係をテーマに研究しています。診療の現場で疑問に感じたことを研究で明らかにし、その結果を患者さんの治療に還元できる点に魅力を感じ、この分野に取り組んでいます。
3)この研究の将来性
この研究は、腸の病気がどのように起こるのかを、より本物に近いモデルで調べることを可能にします。将来、炎症性腸疾患などの新しい治療法や薬の開発、さらに腸の再生医療につながることが期待されます。



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